第14回カムイノミ・イチャルパ祭開催要綱
1.開催趣旨
アイヌの人々は古くから北海道に居住し(北海道の地名の多くがアイヌ語がもとになっています。)、 長い歴史の中で培った口承文芸(ユーカラなど)や衣服、音楽、民具、儀式などに独自の文化を育み、そしてそれらは今日まで受け継がれてきました。
しかしながら、それらの文化・歴史について、日頃みなさんに知っていただく機会は少なく、十分には理解されていない状況にあります。
この事業は、「カムイノミ(神への祈り)」、「イチャルパ(先祖供養)」という伝統的儀式をとおして、みなさんに特色あるアイヌ文化・歴史にふれていただき、同時に「アイヌの民族としての誇りが尊重される心豊かな社会の実現」を目指して開催されるものです。
2.日 時 : 平成20年6月22日(日) 午前11時~
3.場 所 : 有珠善光寺自然公園 伊達市先住民族アイヌ慰霊碑前チセ広場
4.主 催 : 北海道ウタリ協会伊達支部・ 北海道伊達市・ 伊達市教育委員会
5.共 催 : NPO法人伊達観光協会
カムイノミ・イチャルパ祭 式次第
1.開会のことば
2.伝統儀式
1.カムイノミ (神への祈り) 2.イチャルパ (先祖供養)
3.主催者あいさつ
北海道ウタリ協会伊達支部長 小 野 祐 照
北海道伊達市長 菊 谷 秀 吉
4.来賓あいさつ
(社)北海道ウタリ協会理事長 加 藤 忠 様
北海道議会議員 中 山 智 康 様
伊達市議会議長 小 泉 勇 一 様
伊達市議会議員 吉 村 俊 幸 様
5.閉会のことば
6.交流会
○ ウ タ リ 伝 統 料 理 試 食 会
○ 古 式 舞 踊 披 露、ム ッ ク リ 演 奏(白老民族芸能保存会のみなさん)
┌──── カムイノミ〔神々の守護に感謝し平和な暮らしを願う〕 ────┐
アイヌの人たちは、天然現象や動植物、人間の作る道具などすべてに魂が宿り神の
国から使命を担って姿かたちを変えて地上に降りていると考えました。その魂は、人
間にとって有益なものだけでなく、天災や病気などにもあり、このうち、人間の生活に
必要なもの、人間の力のおよばない事象を神として敬いました。神々の護りと生活の
糧の提供があってはじめて、人びとの安定した平和な生活があります。そのような生
活のつづくことを祈願してこれまでの神々の護りに感謝を捧げるのがカムイノミ
[神への祈り〕の儀式です。
祭壇に捧げる神々
ランヌサ リンヌサ ランヌサ
(低い祭壇) (高い祭壇) (低い祭壇)
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬左から順に
①ヌサコロフチ(穀物神) ②モシリカムイ(大地の神) ③キナスツカムイ(竜神)
④コタンコロカムイ(伊達市の守り神) ⑤チェップカムイ(魚の神) ⑥トマリォルンカムイ(泊の神)
⑦ペットルンカムイ(川の神) ⑧オイナカムイ(太陽の神) ⑨アットイカムイ(海の神)
⑩ウスヌプリカムイ(山の神) ⑪レラカムイ(風の神) ⑫ワッカウシカムイ(水の神)
⑬パセオンカムイ(先祖代々の神)

フチ〔おばあさん〕たちが中心となり、イナウ〔御弊〕と供物を捧げ、
先祖の霊を供養する儀式です。
イチャルパはメノコ〔女性〕だけで行うものです。
イチャルパヌサ 先祖供養場
イチャルパ=イチャラパともいう
トノトの品定めをする儀式です。 儀式に値するトノトで あ れば、
エカシ〔長老〕に「ピリカトノト〔素晴らしいできばえの御神酒〕です」と言う。
3.トゥキ〔酒杯〕、トゥキパスイ〔捧酒箸〕が参列者に配られる。
4.イヨマレクル〔棒酒役、酒を酌する役〕が、トノトを祭司であるエカシに
初めに酒を注ぎ、その後炉を囲む全員に注ぐ。 5.祭司の合図でカムイノミが始まる。トゥキパスイをトゥキの中にかるく浸してトノトをつけ、その滴を
カムイに捧げる。エカシが、初めにアペフチカムイ〔火の女神、通常は老婆と考えられている〕に
祈りを捧げる。 6.祈りが終わった後のトノトは、参列者自身が飲み干すか、後ろのメノコ(女性)に回す。 7.本来なら、様々なカムイ(13神)毎に繰り返し延々と行うが、本日は時間の制約もあるので1回
だけ行います。 8.カムイにイナウを捧げる。
カムイごとに担当する者を決めて、各自のカムイにトノトをつけ祈り、イナウに魂を吹き込み、
ヌサ〔祭壇〕に捧げる。 9.最後に、炉に立てておいたイナウを祭司が燃やして神の国に送り返し、オンカミ〔礼拝〕 をして、
儀式は終了します。
イレス オイナ フチカムイ 育てはぐくむ 祖母神様の
ナンコウッチャ サモロ アサレ キワ 御面前 を あけ開かせ まして
テエタ エカシ ウカウルカルロッア 昔の 祖父が 御造りになられた
シオイナ イナウ カムイ キレトッカシ 聖なる偉き御幣を 神様の御面前上に
アコ アシ アンキワ 御立て 致しまして
シンリッ ネロッア エカシ ウタリ 御先祖 でありまする 祖父様方が
ウポロセッキワ タパン シオイナ 唱えまして この 聖なる
ラクンモシロル アコ ホウッパ 下界へ 残され
キロッア イタウッ イポロセ アポロセ ましたる 唱え 言葉を お唱え
キワ ネヤクン アポロセ キ イタウッエイ 致します なら お唱え 致す言葉を
ウンピイッカ コイサウムノポ 疑うことも なさらずに
エイ エソコロ キワ ウンコレ キイヤン 御信じ なさって 下さい ませ。
アノミ キロッア シオイナネ シロルタ 御祭り 致しまする 聖なる 自然に
エイロッロッキ シノアパセレ キ 御鎮座ましまする 尊重致します る
シノアパセレ カムイ ウタリ オレン 聖なる 神様方 へ
アコ イナウ エプニアンキ カネ 御幣を 差し上げ ながら
イナウコロ シロマアシコロ ツキ 御幣付き 御神酒を 盃の
カウッケマッ エイカンバスイ コンナ 女神様の 捧酒箸を渡した 御神酒が
モウムナタラキ ノ 溢れて流れ出す様に
シオイナ カムイ ウタリ オレン 聖なる 神様 方 へ
アコ イブニキ ツラノ 御 あげ致します とともに
アリキンテ キロッア イナウコロ お捧げ 致しましたる 御幣付き
アシコロ イコカンペカキワ 御神酒を お受け取りなされて
カムイ コル シテコロカシ 神様 の 腕の上に
コオシンヌカ キワ ウンコレキヤン お受け取り なさって 下さいませ。
ポロセ ロッア シオイナネ イタウッ 唱えましたる 聖なる 唱え
イポロセ ラマウッ ウオイナネレ キワ 言葉の 霊を 尊重なされ まして
イコレキャン 下さいませ。
オンカミ イタッ アオシレパレ アンキナ 礼拝の言葉を 終わらせていただきます。
ネワネコロカ シンリップリ ウネロックス アパセケゥトム
(ではありますが 先祖の風習 であったので 尊い御心に)
コトキアニ コパスイスイェ クキシリネ。
(私は杯をささげ 棒酒箸を 向けるのです。)
トキタサ パスイタサ チコホサリワ ウンコレヤ タネアナッネ
(杯の方へ 棒酒箸の方へ お顔をお向け 下さいませ。 今日はもう)
シサムプリ アエイカウヌ ネヒオロタ アイェワピリカプ
(和人の風習 多く真似させられ 長いあいだ 私共が用いていた)
アイヌイタッ ネアコロカ アパンテルゥェ ネロッコロカ
(アイヌ語で あったけれども すっかり薄められて しまったけれど)
ネユンポカ アイヌプリ、 チキルスイクス。 タパンペネノ
(なんとかして アイヌの風習を 私共は復活させたいのです)
アパセケウトム チコモソソ ホシキトキ トノトピリカプ
(そこでこのように御心を 目覚めさせ 最初の杯 おいしいお神酒を)
カムイケウトム クコオンカミプ ネルウェネナ。
(位の高い神に 差し上げて いるのです。) チヤイコルシカワ アイヌウタラ ウタラオピッタ エプンキネワ
(この杯をお受け下され アイヌ達 人々全部を お守り下さるよう)
ンコレヤン。 テエタクルネノ ネピタキ クイェエニタンペ
(お願い申し上げます。 先祖達のようにアイヌ語を 上手に言うことが)
ソモネコロカ ヘルクワンノ アパセケウトモロ クコオンカミプ
(できないけれど 極簡単に 尊い神へ 私はお祈り)
ネルゥェネナ コンカミナー。
(申し上げ 礼拝いたします。)
(先祖へ供物を送る言葉)
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